「最近、まつ毛がよく抜ける気がする」——その感覚は正しいかもしれません

まつ毛エクステのオフやリペアのとき、ベッドの上に落ちたまつ毛の本数が気になった経験はありませんか。あるいは朝の洗顔後、ふと鏡を見たときに「目元がなんだかさびしくなった」と感じたことはないでしょうか。こうした変化に気づく方は、決して少なくありません。

まつ毛の脱毛は、頭髪と同様にヘアサイクル(毛周期)に沿った自然な現象です。しかし「いつもより明らかに多い」「一定期間が過ぎても戻らない」という場合には、季節的な変化以外の要因が関与している可能性も考えられます。

この記事では、まつ毛が抜けやすくなる主なメカニズムを整理し、「生理的な範囲の変化」と「一度専門家に相談したほうがよいサイン」を読み解くためのヒントをご紹介します。FRAISEでは医療法人鳳應会グループとの連携のもと、カウンセリングの場でもこうした話題に向き合ってきました。アイリストとして感じてきたこと、そして監修医師・近澤徹先生の知見も交えながら、丁寧に解説していきます。

まつ毛のヘアサイクルを知ることから始めよう

まつ毛がなぜ抜けるのかを理解するには、まず毛周期(ヘアサイクル)の基礎を押さえることが大切です。頭髪は一般に数年単位のサイクルを持ちますが、まつ毛はその期間が大幅に短く、構造や性質も異なります。

まつ毛のヘアサイクルの3つのフェーズ

  • 成長期(アナゲン期):毛根が活発に細胞分裂を行い、まつ毛が伸びていく時期。まつ毛の場合、この期間はおよそ30〜45日程度とされています。頭髪の成長期(2〜6年)と比べると非常に短いのが特徴です。
  • 退行期(カタゲン期):細胞分裂が止まり、毛根が縮小していく移行段階。期間は2〜3週間ほどです。
  • 休止期(テロゲン期):毛根の活動が停止し、やがて古いまつ毛が自然に脱落する時期。新しいまつ毛が押し出すかたちで抜けることが多く、期間はおよそ3〜4週間とされています。

このサイクル全体を合わせると、まつ毛1本あたりの寿命はおよそ3〜5か月が目安です。通常、両目合わせて150〜200本ほどのまつ毛が存在し、それぞれ異なるタイミングでサイクルを繰り返しているため、毎日数本程度が自然に抜けるのは正常な生理現象です。

まつ毛エクステを装着しているお客様が「抜けが多い」と感じやすいのは、エクステが付いた状態でまつ毛が抜けると、1本あたりの存在感が大きく視覚的に目立つためでもあります。まず「どのくらいが普通か」を知っておくことが、正確な自己観察につながります。

季節によってまつ毛の抜け毛は変わるのか

「春になるとまつ毛エクステの持ちが悪くなった」「秋口に抜け毛が増えた気がする」——こうしたお声は、FRAISEのカウンセリングでも繰り返し聞かれます。これは単なる思い込みではなく、季節性の毛周期変動として研究でも報告されている現象です。

春から初夏にかけての変化

皮膚科学の分野では、頭髪において秋に休止期毛が増加するという観察が複数報告されています(Kuniyuki et al., 2016ほか)。これは春から夏にかけての日照時間の延長が毛周期に影響を与え、数か月のタイムラグを経て秋に脱毛として現れるという考え方に基づいています。まつ毛に関する大規模な季節性研究は頭髪ほど多くはありませんが、同様の機序が働く可能性は十分に考えられます。春は新生活のストレスや気温・湿度の急激な変化が加わるため、体内環境が乱れやすい時期でもあります。

秋から冬にかけての変化

気温の低下により皮膚の血行が滞りやすくなる秋冬は、毛根への栄養供給が相対的に低下しやすい季節です。また暖房による乾燥は、まつ毛の根元付近の皮脂バランスにも影響を与えます。加えて冬は体温を維持するためにエネルギー消費が増え、タンパク質や鉄分などの毛の合成に必要な栄養素が不足しがちになることも、まつ毛の状態に影響する要因のひとつと考えられます。

「季節性」と判断できる目安

季節的な変動の場合、多くは一時的な増加にとどまり、数週間から2か月程度で落ち着いてくるのが特徴です。抜け毛が増えても、新しいまつ毛の産毛(ベビーラッシュ)がしっかり生えてきているようであれば、ヘアサイクルが正常に機能している証拠と言えます。毛根付近に白っぽい球状の膨らみ(毛球部)が確認できる場合は、休止期を迎えて自然に抜けたまつ毛である可能性が高いでしょう。

見逃したくない「疾患由来」のサイン

季節的な変化の範囲を超えていると感じたとき、あるいは抜け毛の増加が長期にわたって続くとき、私たちアイリストとしては「一度皮膚科や内科への受診をご検討ください」とお伝えするケースがあります。まつ毛の脱毛が身体の内側からのサインであることは、決して珍しくありません。

甲状腺機能の異常

甲状腺ホルモンは全身の代謝をコントロールする重要なホルモンであり、毛周期にも深く関与しています。甲状腺機能低下症(橋本病など)では、代謝の低下により成長期が短縮され、まつ毛・眉毛・頭髪が全体的に細く短くなったり抜けやすくなったりすることが知られています。眉毛の外側1/3が薄くなる「ヘルトーゲ徴候」は有名ですが、まつ毛にも同様の変化が起こることがあります。反対に甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)においても、代謝の過剰な亢進によって毛周期が乱れ、脱毛が生じる場合があります。

円形脱毛症(アロペシア・アレアータ)

自己免疫的なメカニズムで毛根が攻撃される円形脱毛症は、頭皮だけでなくまつ毛・眉毛にも発症することがあります。まつ毛の円形脱毛では、部分的に抜ける、あるいは広範囲に脱落するケースが見られます。発症は比較的急速で、数週間のうちにまとまった本数が抜けることも特徴のひとつです。ステロイドの局所投与や免疫調整療法など、皮膚科での診断・治療が必要な状態です。

鉄欠乏性貧血・低栄養

毛の主成分はタンパク質(ケラチン)であり、その合成には鉄・亜鉛・ビオチン・各種ビタミンが欠かせません。過度な食事制限やダイエット、あるいは月経量が多い方では、鉄欠乏性貧血が潜在している場合があります。鉄が不足すると酸素や栄養素の毛根への供給が低下し、成長期が短縮されて脱毛につながることがあります。「疲れやすい」「動悸がある」「顔色が悪いと言われる」といった全身症状を伴う場合は、血液検査を受けることで状態を把握できます。

ストレスと精神的負荷

強いストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、毛包の成長期を早期に終了させる引き金になりえます。「休止期脱毛(テロゲン・エフルビウム)」と呼ばれるこの現象は、強いストレスや体調の急激な変化(高熱、手術、出産など)から2〜3か月後に脱毛として現れることが多く、まつ毛も例外ではありません。原因となったストレスが解消されれば自然に回復することが多いですが、長期化する場合は専門家への相談が安心です。

眼瞼炎(がんけんえん)・毛嚢炎

まつ毛の根元に炎症が起きる眼瞼炎は、まつ毛の脱落に直接つながることがあります。まぶたの縁が赤い、かゆい、フケのようなものが付着している、といった症状を伴う場合は、細菌性・脂漏性・アレルギー性などいずれかの眼瞼炎を疑い、眼科または皮膚科を受診することを推奨します。まつ毛エクステを施術している方では、グルー(接着剤)の刺激が眼瞼炎を誘発・悪化させるリスクもゼロではないため、FRAISEでは施術前のカウンセリングで必ず目元の状態を確認しています。

セルフチェックの視点と日常ケアで気をつけたいこと

「では、自分で何を見ればいいのか」——そのヒントをいくつかご紹介します。ただし、セルフチェックはあくまでも状態を把握するための参考であり、医師による診断に代わるものではありません。

抜け毛の状態を観察するポイント

  • 毛球部(根元の膨らみ)の有無:抜けたまつ毛の根元に白い球状の部分があれば、休止期を終えた自然脱落の可能性が高いです。反対に根元が細くちぎれたような形状の場合は、物理的なダメージや炎症が関与しているかもしれません。
  • 抜ける量と期間:1日に両目合わせて5本程度までは、多くの場合正常範囲内と考えられます。それ以上が2〜3週間以上続く場合や、特定の部位だけが集中して薄くなっている場合は、変化として記録しておきましょう。
  • 眉毛・頭髪との比較:まつ毛だけでなく眉毛や頭髪にも同時期から変化がある場合は、全身的な原因が関与している可能性が高まります。
  • まぶたの状態:赤み・かゆみ・分泌物・鱗屑(うろこ状の皮膚片)がある場合は、眼瞼炎を疑うサインです。

日常生活で意識したいケアの考え方

  • クレンジングは優しく・丁寧に:まつ毛根元への過度な摩擦は毛根にダメージを与えます。目元専用のポイントメイクアップリムーバーを使い、こすらずに浸透させてから拭き取るのが基本です。
  • 栄養バランスを整える:タンパク質・鉄・亜鉛・ビオチン(ビタミンB7)・ビタミンCを意識した食事は、まつ毛の健康維持に寄与します。特に鉄は吸収率が低いため、ビタミンCと組み合わせて摂取するのが効果的です。
  • 睡眠と成長ホルモン:成長ホルモンは主に深い睡眠中に分泌され、毛母細胞(毛を作る細胞)の活性化に関わります。質の良い睡眠を確保することは、まつ毛を含む全身の毛の状態にも影響します。
  • まつ毛への物理的刺激を最小化する:アイカーラーの強い挟み込み、まつ毛を触るクセ、タオルでのゴシゴシ拭きは、ヘアサイクルが乱れるきっかけになることがあります。

まつ毛エクステ装着中の方への補足

まつ毛エクステを付けている状態では、自まつ毛の本数や密度が把握しにくくなりがちです。FRAISEでは定期的なリペアの際に、アイリストが自まつ毛の状態を丁寧に確認しています。「前回より全体的に細くなってきた」「特定の部位の密度が下がっている」といった変化に気づいた際には、必ずお客様にお伝えするよう心がけています。早期に気づくことが、早期対処につながると私たちは考えています。

FRAISEのカウンセリングが大切にしていること——「まつ毛の声」を一緒に聞く

まつ毛の抜け毛という話題は、美容の文脈で語られることが多い一方で、身体の内側と深く結びついているテーマです。「エクステの持ちが悪い」「まつ毛が減ったかもしれない」というお客様の違和感は、ときに季節の変わり目というシンプルな理由で説明できることもあれば、生活習慣や全身の健康状態を振り返るきっかけになることもあります。

FRAISEでは施術前後のカウンセリングを単なる「希望デザインの確認」の場とは捉えていません。目元の状態や自まつ毛の変化について、お客様と率直に言葉を交わせる関係性を大切にしています。「前回と比べてまつ毛が細くなっていませんか」「根元に赤みはありませんか」といった問いかけも、私たちにとっては自然なコミュニケーションの一部です。

医療法人鳳應会グループとの連携が意味すること

FRAISEが医療法人鳳應会グループと連携しているのは、まつ毛エクステが「美容の施術であると同時に、皮膚・目元という医療的にも繊細な部位に触れる行為である」という認識に基づいています。監修医師・近澤徹先生の知見のもと、私たちは「何かおかしい」と感じたときに適切な医療機関への受診をためらわずにお勧めできる立場を持っています。

「サロンでそんなことまで話していいの?」と驚かれるお客様もいらっしゃいます。でも私たちは、お客様の目元を長くお付き合いする立場として、施術の美しさだけでなく、その根本にある自まつ毛の健康状態を一緒に見守っていきたいと考えています。

「気になる」を持ち込んでほしい場所

季節の変わり目にまつ毛が増えた気がする、最近抜け毛が多いと感じる、エクステの持ちが以前と変わった——そうした小さな「気になる」を、ぜひカウンセリングの場に持ち込んでください。原因が季節性のものであれば、「今はそういう時期ですよ」とお伝えしてひと安心していただけます。もし受診をお勧めする必要があると感じた場合には、どのような科に相談するとよいかも含めて、丁寧にご案内します。

「親切・丁寧・納得」というFRAISEの変わらぬ哲学は、施術の手際だけでなく、お客様が自分の身体について「わかった、安心した」と感じられる会話の積み重ねのなかにあると、私たちは信じています。完全個室・完全予約制の静かな空間で、どうぞゆっくりとお話しください。

FRAISE Note

まつ毛の変化は、毎日鏡を見ている方ほど敏感に気づくものです。「気のせいかな」と思いながらも気になっているなら、その感覚はとても大切なサインかもしれません。FRAISEでは、医療法人鳳應会グループのサポートのもと、医学的な視点を持ちながら皆さまの目元に向き合ってきました。施術を通じて気になる変化を発見した際には、アイリストから率直にお伝えしますし、医療機関への受診が必要と感じた場合は適切にご案内します。「なんとなく最近まつ毛の様子が違う」と感じたとき、どうか一人で抱え込まずに、まずは私たちに話しかけてみてください。北24条の1号店・円山の2号店、どちらでもお気軽にカウンセリングのご予約をお待ちしています。