「最近、まつ毛がよく抜ける気がする」──それ、ホルモンのせいかもしれません
まつ毛エクステのメンテナンスでご来店いただいたお客様から、「最近なんだかまつ毛がよく抜けるようになって…」というお声をいただくことが少なくありません。エクステ自体は正しくケアしているのに、地まつ毛ごとスルッと抜けてしまう感覚が続く、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
原因としてまず思い浮かぶのは、アイメイクの刺激やクレンジングの摩擦、あるいはエクステ施術の影響かもしれません。もちろんそれらも無視できない要因ですが、私たちFRAISEが医療法人鳳應会グループの監修医師とともに日々のカウンセリングで意識しているのが、ホルモンバランスの変化という視点です。
この記事では、まつ毛の成長サイクル(毛周期)とホルモンの関係を医学的な見地から丁寧に解説し、ライフステージごとに起こりやすい変化と、その時期にどのようなケアや心構えが助けになるかをお伝えします。「自分のまつ毛の状態を、もう少し理解したい」と感じている方に、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。
まつ毛の毛周期とは何か──成長・退行・休止のメカニズム
ホルモンの影響を理解するためには、まずまつ毛の毛周期(ヘアサイクル)の基本を知っておくことが大切です。毛周期とは、毛が生まれ、育ち、やがて自然に抜け落ちて新しい毛へと入れ替わるサイクルのことを指します。
3つのフェーズ:成長期・退行期・休止期
毛周期は大きく3つのフェーズに分けられます。まず成長期(アナゲン)は、毛根の毛母細胞が活発に分裂し、まつ毛が実際に伸びていく時期です。頭髪では2〜6年にも及ぶ成長期ですが、まつ毛の場合は約30〜45日と非常に短いのが特徴です。次に退行期(カタゲン)は2〜3週間ほどで、細胞分裂が止まり毛根が縮小していきます。そして休止期(テロゲン)は約3〜4ヶ月続き、この時期に古い毛が自然と抜け落ち、毛包が次の成長の準備を整えます。
つまり、まつ毛は頭髪に比べてサイクル全体が格段に短く、常に一定数が自然に抜け落ちていくものです。1日に2〜5本程度抜けるのは生理的な範囲内とされており、これ自体は異常ではありません。しかし、休止期に入る毛の割合が増えたり、成長期が短縮されたりすると、全体的な本数の減少や細毛化として実感されるようになります。
毛周期を制御している「毛乳頭細胞」の役割
毛根の最深部にある毛乳頭細胞は、毛母細胞に増殖シグナルを送る司令塔のような存在です。この毛乳頭細胞にはホルモン受容体が存在しており、血中を流れるさまざまなホルモンの影響を直接受けます。ここに、ホルモンバランスとまつ毛の状態が密接につながる生物学的な理由があります。毛乳頭細胞が受け取るホルモンの種類やバランスが変わると、成長期の長さや毛の太さ・強度にも変化が生じるのです。
ホルモンがまつ毛に与える影響──エストロゲン・アンドロゲン・甲状腺ホルモン
まつ毛の毛周期に関わるホルモンは複数ありますが、特に理解しておきたいのが以下の3つです。それぞれの働きを知っておくと、「なぜあの時期に抜けやすかったのか」が腑に落ちる瞬間があるはずです。
エストロゲン(女性ホルモン):毛の成長を支える守護者
エストロゲンは、毛乳頭細胞に働きかけて成長期を延長させ、毛を太く健やかに保つ作用があるとされています。女性ホルモンとして知られるエストロゲンは、思春期以降の女性に豊富に分泌され、肌のうるおいや骨密度の維持と並んで、毛の成長サイクルにも大きく貢献しています。妊娠中はエストロゲン値が通常の約10倍にも上昇することがあり、この時期にまつ毛や髪が「いつもより豊かになった気がする」と感じる方が多いのはそのためです。
アンドロゲン(男性ホルモン):過剰になると逆効果になることも
テストステロンに代表されるアンドロゲンは、本来は男女ともに分泌されるホルモンで、適切な量であれば体の機能維持に欠かせません。しかし頭皮の毛包においては、アンドロゲンが過剰に作用すると成長期が短縮し、毛が細くなりやすいことが知られています。まつ毛の毛包についても同様のメカニズムが働くと考えられており、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などアンドロゲンが過剰になりやすい状態では、まつ毛の薄毛を経験する方もいらっしゃいます。
甲状腺ホルモン:見落とされがちな「全身の代謝指令塔」
甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節するホルモンで、毛母細胞の増殖にも関与しています。甲状腺機能が低下すると(橋本病など)、代謝全体が落ちることで毛の成長速度が遅くなり、まつ毛や眉毛が抜けやすくなることが医学的に確認されています。特にまつ毛の外側1/3が薄くなるパターンは、甲状腺機能低下症の所見として知られており、「ヘルトーニュ徴候」とも呼ばれます。逆に甲状腺機能が亢進した場合も毛周期が乱れることがあり、どちらに振れても影響が出やすいホルモンです。まつ毛の変化が著しい場合は、内科・皮膚科への相談も視野に入れることが大切です。
ライフステージ別に見る「まつ毛が変わりやすいとき」
ホルモンバランスは、人生のさまざまな節目で大きく変動します。FRAISEにお越しいただくお客様のご年齢層は幅広く、それぞれのライフステージによってまつ毛の悩みの内容もずいぶんと異なります。ここでは、特に変化を感じやすいタイミングを整理しておきます。
産後(産後2〜6ヶ月):エストロゲン急落による休止期の集中
妊娠中に高かったエストロゲン値は、出産後に急激に低下します。これに伴い、妊娠中に成長期に留まっていた多くの毛が一斉に休止期・脱毛期へと移行します。頭髪での「産後脱毛」はよく知られていますが、まつ毛でも同様の集中的な抜け毛が起こりやすいのです。産後3〜6ヶ月頃に「まつ毛がごっそり抜ける」と感じる方の多くは、このメカニズムが背景にあると考えられます。ほとんどの場合、ホルモンバランスが安定してくる産後半年〜1年で自然に回復していきますが、授乳・睡眠不足・栄養不足が重なると回復に時間がかかることもあります。
更年期(40代後半〜50代):エストロゲンの漸減と毛の細毛化
閉経前後の更年期は、エストロゲンが数年かけて段階的に低下していく時期です。この漸減(だんだんと減っていくこと)により、まつ毛の成長期が短縮し、毛が細くなったり本数が減ったりする変化が現れやすくなります。「若い頃と同じようにエクステが持たなくなった」「地まつ毛が弱くなった気がする」というお声は、この時期のお客様から特にいただきやすい声です。更年期の変化はゆっくりと進むため、自分自身では気づきにくいこともありますが、毛周期の変化としては自然なプロセスであることを知っておくと、過度な不安を抱えずに済みます。
生理前・生理中:短期的な変動も無視できない
月経周期に伴うホルモン変動も、まつ毛の状態に影響することがあります。黄体期(排卵後から月経前)にはエストロゲンが一時的に低下し、プロゲステロンが優位になります。この時期に頭皮の皮脂分泌が増えてベタつきやすくなるのと同様に、まつ毛の根本周辺の皮脂バランスも変化することがあります。また月経前に浮腫(むくみ)が生じると、まつ毛の毛根周辺の組織環境も微妙に変化するため、「月経前後にまつ毛が抜けやすい気がする」という感覚は、あながち思い過ごしではないかもしれません。
ストレス・睡眠不足による副腎ホルモンの影響
ストレスが続くと副腎からコルチゾール(ストレスホルモン)が過剰に分泌され、性ホルモンの産生バランスが乱れることが知られています。コルチゾールの慢性的な上昇は、成長因子の働きを抑制し、毛周期の成長期を短縮させる可能性があるとされています。現代社会において、ストレスや睡眠不足は避けられない側面もありますが、まつ毛の変化は「全身のサイン」でもあると意識しておくことが大切です。
まつ毛エクステとホルモン変動期──サロンとして大切にしている考え方
ホルモンバランスが揺らいでいる時期にまつ毛エクステを楽しみたいというご要望は、FRAISEでも多くいただきます。「産後のご自分へのご褒美に」「更年期でも目元だけは明るくいたい」という気持ちは、私たちにとってもとても大切にしたい思いです。ただ、ホルモン変動期には地まつ毛そのものの状態が通常と異なることが多く、施術やデザインの選択において、いくつかの点を意識していただきたいことがあります。
地まつ毛が細く・短くなっている時期のエクステ選び
地まつ毛が細毛化・短毛化している時期に、通常と同じ太さ・長さのエクステを装着すると、地まつ毛への負担が増大します。FRAISEでは、カウンセリングで地まつ毛の状態を丁寧に確認し、地まつ毛の太さの70〜80%以内のエクステ径を選ぶことを基準のひとつとしています。たとえば、通常0.15mmのエクステを使用していた方でも、地まつ毛が細くなっている時期には0.10〜0.12mmへの変更をご提案することがあります。細めのエクステはボリューム感が控えめになりますが、地まつ毛を守ることが長期的な美しさにつながると考えているからです。
本数・長さの調整でバランスを取る
地まつ毛の本数自体が少なくなっている時期には、1本の地まつ毛に対して1本のエクステを付けるシングルラッシュが基本ですが、さらに装着本数を全体の70〜80%程度に抑えることで、地まつ毛の休息を確保しながらエクステを楽しむことができます。また、長さについても地まつ毛の長さプラス2〜3mmを上限の目安とすることで、根本へのテコの力(レバレッジ)を軽減できます。これらの判断はカウンセリングの中でアイリストが地まつ毛の状態を確認しながら行いますので、まずは正直にご状況をお聞かせください。
グルーの硬化と地まつ毛の柔軟性
ホルモン変動期に毛が細くなると同時に、毛の弾力性や柔軟性も変化することがあります。硬めのグルー(接着剤)は、弾力の低下した地まつ毛に対してかえって負担をかける場合があるため、FRAISEでは地まつ毛の状態に応じてグルーの粘度・硬度を選択する対応を行っています。これも医療法人鳳應会グループの監修医師との連携の中で、医学的な根拠に基づいて定めている安全基準のひとつです。
FRAISEのカウンセリングで「まつ毛のいま」を一緒に見つめる
まつ毛エクステのサロンに来ると聞くと、「デザインを決めてもらう場所」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし私たちFRAISEが大切にしているのは、エクステを付ける前に「いまのあなたのまつ毛の状態を正確に知る」というプロセスです。それがあってはじめて、デザインの選択も、仕上がりへの期待値も、ケアのアドバイスも、すべてがその方に本当に合ったかたちになると考えているからです。
カウンセリングで確認していること
FRAISEのカウンセリングでは、ご希望のデザインをお聞きするとともに、以下のような点についても自然な会話の中でお伺いするようにしています。
- 最近の体の変化やライフイベント:産後・育児期・ダイエット中・睡眠の質の変化など
- 体調の変化とまつ毛の変化が重なっていないか:「この2〜3ヶ月で急に抜けが増えた」などの気づき
- 現在のスキンケア・クレンジングの方法:ホルモン変動期は皮脂バランスも変わるため、洗浄力が強すぎるケアが地まつ毛に影響していないかを確認
- 服用中のサプリメント・薬:ビオチンやコラーゲン系サプリは一般的に問題ありませんが、特定の薬(経口避妊薬・甲状腺治療薬など)は毛周期に影響することがあるため、参考情報として伺うことがあります
こうした情報は施術の強制的な判断に用いるものではなく、あくまでもよりよい提案をするための参考です。お話しいただける範囲で構いません。
「いまの状態で楽しむ方法」を一緒に探す
ホルモン変動期だからといって、まつ毛エクステを諦める必要はありません。地まつ毛が細くなっている時期でも、エクステの種類・径・本数・カールを適切に組み合わせることで、地まつ毛への負担を最小限に抑えながら、目元の印象を明るく整えることは十分に可能です。大切なのは、「いまの地まつ毛の状態に合わせた最適解を選ぶ」という視点です。
また、まつ毛の変化が著しく、「これはサロンでできるケアの範囲を超えているかもしれない」と感じる場合には、皮膚科や内科への受診をお勧めすることもあります。これはお客様の利益を最優先に考えるFRAISEとしての誠実な姿勢でもあります。医療法人鳳應会グループとのつながりを持つ私たちだからこそ、「サロンでできることとできないこと」の線引きを大切にしています。
日常のまつ毛ケアで意識してほしいこと
ホルモン変動期の方に特に意識していただきたい日常ケアのポイントをまとめます。
- 洗顔・クレンジング時に目元を強くこすらない。まつ毛の根本を指腹でやさしく押さえるように洗う。
- 洗顔後はまつ毛が乾燥しないよう、清潔なスクリューブラシで整えてから保湿を行う。
- まつ毛美容液を使用する場合は、成分(ビマトプロスト等の医薬品成分は医師の指導のもとで使用)を確認したうえで選ぶ。
- バランスのよい食事を意識する。特にビオチン(卵・ナッツ類・大豆食品)・鉄分・亜鉛は毛の成長に関係するとされている。
- 睡眠を優先する。成長ホルモンは睡眠中に分泌され、毛母細胞の活動を促す。
これらは地まつ毛そのものの健康を支えるための基本的な習慣です。特別なケア用品がなくても、今日からできることがほとんどです。
FRAISE Note
まつ毛の変化は、体の内側で起きているさまざまな変化を反映していることがあります。「最近、なんとなく抜けが多い気がする」「エクステの持ちが前と違う」と感じたとき、それは体があなたに送っているサインかもしれません。FRAISEでは、完全個室・完全予約制のカウンセリングの中で、地まつ毛の状態をアイリストが丁寧に確認しながら、いまのあなたに合った施術と日常ケアをご提案しています。医療法人鳳應会グループのサポートのもと、医学的見地に基づいた安全基準を大切にしながら、「親切・丁寧・納得」の施術をお届けすること──それが創業2009年から変わらないFRAISEの姿勢です。まつ毛のことで気になることがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。あなたのまつ毛の「いま」と「これから」を、一緒に考えさせていただけたら嬉しいです。